校長通信 第1回

 令和5年度は4月8日土曜日に始業式と生徒会新旧交代の式典そして新入生と在校生の対面式、部サークル紹介など内容がてんこ盛りで、新入生の皆さんにはさぞかし情報量が多かったのではないでしょうか。在校生も今日初めて知るクラスメンバーや担任に朝から校内中に大きな声が響いていました。始業式には新人の先生の紹介や学年団の先生の紹介もあり、生徒は大きな拍手で新体制を迎えてくれました。

 では始業式の校長講話の内容をご紹介します。

 4月6日の入学式に160名の新入生を迎え本校は847名の学校となりました。式典では本校のエンブレムの逸話を紹介しました。(下に内容をご紹介します。)

 20年前の開校時と比べ世界情勢や本校を取り巻く環境も変化しています。そこで3リスペクトの理念を中心に、私が2年前の校長就任に合わせて新しい教育方針を提示しました。現在、世界は様々な格差から社会問題が広がっています。貧富や宗教、民族、世代、ジェンダーなど。相手の事情を理解しようとせず、また対話の機会も設けようとしない、壁を作り、関わらないようにして、時には攻撃をする。それでは格差は広がるばかりです。

 格差を乗り越え世界に貢献するためには、「公正」で「卓越」したものを持たねばなりません。因みに「公正」と「卓越」は矛盾する概念です。相対立するものを統合して高い次元で解決する手法を「弁証法」といいます。この弁証法は古代ギリシャよりアリストテレスやソクラテスたちによって編み出され後世の哲学者たちが実践してきたものです。

 数学が得意な子、かけっこの早い子、プログラミングの上手い子、発表の上手な子、これら卓越性の発揮にはそれを取り巻く公正な環境が大事です。発揮した子が奢らず、その技術をシェアすること、そして周りが自分事のように賞賛して自らも何らかの卓越性に挑戦する。そんな学校にしたいと、挨拶や表彰式を励行してきました。他を蹴落として上るのではなく、仲間とともに切磋琢磨する。チームやクラスで様々な役割の中で自分の責任を果たし、他の協力に感謝する。この関係を「相互依存」として教育方針の柱にしています。世間の教育では自立や自律がもっぱら柱になっていますが、現実の社会では依存して自立して、相互依存の関係を構築していくのです。そのためには社会に貢献する精神性と仲間や取り巻く社会そして自分自身に敬意を払わねばなりません。それが本校の理念3リスペクトです。この「卓越性excellence」に挑戦し「公正fairness」な精神を身につけ「相互依存interdependence」できる人間関係を構築して、世界に貢献する人材を目指しましょう。

(入学式式辞抜粋)
新入生の皆さん、入学おめでとう。いよいよ二十四の春夏秋冬が始まります。皆さんの制服の胸には色鮮やかなエンブレムがあしらわれています。このロゴには対話、勇気そして友愛という意味のラテン語が刻まれ、世界で活躍する誓いを示しています。

 このエンブレムは校歌にうたわれていて「ことばはゆきかう」「ことばは培う」が『対話』の大切さを意味しています。そして「豊かな世界に分け入る勇気」が、はじめてのお友達と仲良くなる『勇気』です。思いやりを持って相手の目を見て対話をしてみてください。6年間さまざまな研修や行事で生活を共にする仲間です。友情よりもっと広い絆、『友愛』で結ばれ、きっと生涯の友となることでしょう。

 皆さんにお願いがあります。それは挨拶や返事をしっかりとして欲しいことです。生徒も先生も近しく感じる人ばかりではありません。でも、挨拶をすれば自然と距離は保てます。ゴリラもチンパンジーも群れに入る時には挨拶をします。こうして社会性を磨いてください。

 また本校では全校集会で必ず表彰式を行います。それはお友達の健闘を称えるためですが、心から他を応援する気持ちを身につけてほしいからでもあります。決して表彰者をひがんだりねたんだりせず、自らも高い目標に挑戦しようという意欲にかえてほしいと思っています。

 この自分を前向きにして他人を思いやる、そして皆で応援するポジティブな校風を3リスペクトという標語で大切に守っています。この雰囲気に早く慣れ、中等生らしさを身にまとって、逞しく成長する姿を祈念し、式辞といたします。

令和五年四月六日
土浦日本大学中等教育学校
校 長 堀  切  浩  一

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