校長通信 第10回

 3月4日、本校の開校以来15回目の卒業式を挙行して、88人の愛すべき生徒たちが本校を巣立っていきました。13歳から18歳までの24の春夏秋冬を共に過ごした友達との思い出、母親の身長をあっという間に追い抜いて精神的にも少年少女から青年に成長していく過程を見守った保護者の方々の想い、短い時間ではありましたが、中等の6か年の絆の深さを感じたひと時でした。

 

式辞抜粋
(前略)まず、保護者の皆様、本日はご子息ご息女のご卒業誠におめでとうございます。六年前のこの場所での入学式を懐かしく思い出されているのではないでしょうか。月日が巡るのは早いもので、それまで順調だった学校生活も3年の広島研修を最後に、制限を強いられました。ただし、県内最速でリモートの始業式、授業を展開して、その後の学びを止めることはありませんでした。行事についても家庭の理解を得ながら,スポーツディやオープンハウスを実施しました。子どもたちは置かれた状況に不満ひとつ言わず、与えられた環境に工夫を加え学校生活を謳歌しました。これも偏に保護者の陰なる支援の賜物と感謝し、さらに家庭教育の成果であると感心する次第であります。

 さて十五期生の皆さん、卒業おめでとう。長きに亘(わた)るマスク生活も近々過去の話題となることでしょう。ただし、日本人特有の同調圧力でマスク越しのコミュニケーションの習慣はすぐには戻せないかもしれません。しかし、次のステージを目指す君たちには是非とも恐れずに積極的に自分を発揮していただきたい。

 世界にはまだまだ多くの紛争や差別や貧困といった深刻な社会問題が存在します。問題の背景には歴史や文化そして宗教などが絡み合い、各々の立場見方の違いから解決の難しいものがあります。君たちの六年間でも自分と違う意見や感覚を持った人がいたはずです。ただし、違うからといって、排除したり攻撃したり無視したりする愚かさは本校で十分学んだと思います。そうした様々な思い出とともに育んできた友達との絆はきっと君たちの拠り所となるでしょう。

 卒業して新しい社会に飛び出す君たちの世界は今後、どんどん広がっていきます。そして様々な価値観に触れていくことになります。それが多様性の中で生きるということです。そこで試されるのは違う価値を認め共存していく力です。このことを本校では3リスペクトという標語で大切に守ってきました。ここで培った知恵や感性そして品位を今後とも磨いてください。二十四の春夏秋冬で得た経験こそが未来の鍵なのです。

 この伝統を十五期生の皆さんが受け継ぎ、次の世界のたくさんの挑戦と発見を後輩に物語ってくれることを祈念し、式辞といたします。

土浦日本大学中等教育学校
校 長 堀  切  浩  一

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