校長通信 第4回

 合同HRも無事終了して、いよいよ夏休みに突入します。オリンピック開幕の公休日をはさんで来週から課外授業や部サークル活動が始まります。この夏が中等生にとって自分をみつめ磨き高められる機会となることを願ってやみません。

 この週末はオリンピックのテレビ観戦をする人も多いと思いますが、その矢先に開幕式の作曲担当者が辞退するニュースが飛び込んできました。「いかなる差別も禁止する」五輪憲章に反する作曲担当者の過去のいじめ問題が国内外から批判を浴びたそうです。いじめや差別で人の尊厳を冒した事実は簡単に消えることではなく、多くの人の信頼を裏切ることになるのだというのを目の当たりにしたニュースでした。

 録画していた金曜ロードショーを日曜日にたまたま見て、月曜日の道徳で1年生にお話ししました。細田守監督のサマーウォーズです。世の中がガラケーからスマホへと変わる2010年頃にヒットしたアニメです。戦国時代から続く陣内家の16代当主、陣内栄から認めてもらいたい一心から米国国防総省で人工知能AIラブマシーンを開発した侘助。仮想現実の世界OZ(オズ)で、そのラブマシーンが人々のアカウントを乗っ取り、世界を支配していくのを陣内家の人々や世界中の人々が一致団結して阻止するというお話です。

 お話をどのような角度から見るかは視聴者の自由です。私はこのお話で登場する侘助の存在をまず、自分の人生を見直すきっかけにして欲しいと思いました。他人から褒められたい、認められたいという欲求で自分の未来を決めるのではなく、自分に向き合って理想とする未来を切り開くことの大切さを表現しています。侘助も自分の承認欲求に苦しみ、人のつながりの大切さに目覚めていきます。

 もうひとつはネットの世界で「なりすまし」他人の情報をむやみに取り込んでマウントをとっていくラブマシーン。人間のコミュニティでの付き合いは、勝ち負けの世界ではありません。相互依存そして相互理解が基本です。思いやりと勇気は何ものにも代えられない絆を生みます。

 細田守監督はこの夏新しいネットの世界の映画を出すそうです。非常に楽しみです。是非、自分なりの視点で鑑賞したいと思っています。生徒の皆さんもこの夏、読書や映画鑑賞などを通して視野を広げてほしいと願います。

土浦日本大学中等教育学校
校 長 堀  切  浩  一

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