第32回モデルロケット全国大会パラシュート滞空時間競技  団体優勝

 大会前日
 すべての作業を何とか終え,機体だけでなく,修理用の部品や接着剤などを梱包。3人は部活を18時まで頑張り,その後20時までロケットを作る日々でした。最後まで製作も準備もギリギリです。焦るし,慌てるし,右往左往します。そんなときほど,様々なミスが起きるものです。だから,冷静に今の状況を理解し,想定外を想定内にするための思考力が重要です。


 

  明日の天気を調べると「朝まで強い雨。時間によっては平均風速5m/sの1日通して強い風」また,雨か・・・・。

思えば8ヶ月前,ライセンス取得の打ち上げの時も,第31回全国大会見学の時も雨でした。生徒の機体開発において,雨対策は絶対的に必要な要素でした。そのため,水に強い素材と加工方法を工夫してきました。だから,悪天候の情報を聞いた生徒は特に動揺することもなく,疲れた表情ではありましたが,瞳は輝いていました。
 


 大会当日
 会場に着いたときは,小雨であるものの,大会実施に影響はなさそうであった。風向・風速ともに安定していない。発射角度など悩みが多い天気となった。まずは機体の検定です。自分たちの機体の発射に許可が出るか不安だったようですが,審査員からは,機体設計のポイント・精度等おおむね高評価をいただき,安心したようでした。

 

 

 

  風は強いまま,何とか雨が上がり,パラシュート滞空時間競技が始まりました。

他のチームは,ロケットの分解やパラシュートが開かない等でDQ(disqualified・失格)になる選手が多くいました。

発射順を待つ3人が心配や不安で緊張が高まっていくのがわかります。実はこの競技,大会直前にパラシュート

素材を変更しています。開く確率を上げるために柔らかい素材への変更ですが,熱に弱くなっています。

  

 

 祈る思いで発射ボタンを押していきます。3機ともきれいにパラシュートを開かせることができました。理想に近づく努力はしてきたものの,初めて理想的な飛行ができました。視界から消えてしまうほどの滞空時間を見ることができ,今までの緊張感を忘れさせる喜びでした。

  そのような中で,成績の中間発表で驚きの結果が出ます。優勝経験を持っていたり何度も参加している団体の中でトップに立っていました。3人は,目標は優勝・ロッキードマーチン賞が欲しいと,いつも言っていました。取り組めば取り組むほど,モデルロケットの奥深さを実感し,この目標がいかに難しいことなのかをわかっているだけに,少々驚きです。


 

 次は,ペイロード競技です。今回最も難しい競技です。ペイロード競技は,HⅡ-B ロケットのコウノトリ部分に相当するペイロードを空中で分離してできるだけ遠くに飛ばし,かつ,ロケット本体を地球に見立てた発射位置に帰還させなければなりません。私たちの作戦は,最大傾斜角(30°)で打ち上げ,できるだけモデルロケットを遠くに飛ばしてペイロードを射出し,その後パラシュートで本体を発射位置に戻す作戦でした。しかし,時折風速が8m/sを越え,試験飛行では体験していない強風です。そこで,直前に風に流されないよう落下速度を上げるためパラシュートの中心を切り取ることにしました。

 

 
 しかし,残念ながらそれ以上に風が強く,見えなくなるほど機体は飛んでいってしまいました。この競技では得点を1ポイントも取ることができませんでした。

 

  最終種目は高度競技です。今回のプロジェクトにおいて,最初に開発に取りかかった機体です。ここまで来れば,だいぶリラックスして,会場の雰囲気も含め楽しめるようになりました。


 

 

  最後の発射に向け,機体をセットします。高度競技は,最大100mを越える高さになることもあります。3機のうち1機が10位以内にはいることができ,何とかポイントを取ることができました。

 

 ドキドキしながらの結果発表です。
●パラシュート滞空時間競技部門1位    
●3種目合計による団体総合3位
●学生団体上位3チームに贈られる
 ロッキードマーチン奨励賞 受賞
●女子団体最高位に贈られる
 ロッキードマーチン賞 受賞


 以上4つの賞をいただくことができました。目標の総合優勝には届きませんでしたが,約半年の試行錯誤の中で上位の成績をとれたことは大きな自身になったのではないでしょうか。周囲のチームは毎年参加している高校・大学生・一般のクラブチーム,中には20年近く挑戦している方もいます。そのためか,3人が表彰台に上がるたびに,初めて見るチーム,初めて聞く学校名に会場がざわつきました。どうやら自分たちだけでなく,周囲も驚きの結果だったようです。

 プロジェクトが始まった頃は,製作や発表の準備などいつもギリギリになってしまうことが多く,計画性などが課題だったように思います。しかし,全国大会前日も同じギリギリの完成でしたが,好成績を収められたのは,最後まで諦めず,より改良を施し,不安要素を徹底的に排除する姿勢によるものでした。このGirls' Rocketry Challengeを通して,物理的思考力・材料化学・材料加工技術などを身につけてきたことも十分大きいのですが,それ以上にものづくりの難しさと喜び,不断の改善・改良の大切さを知ったと思います。

 最後に,日本モデルロケット協会・山田会長,ロッキードマーチン社,千葉工業大学・和田豊先生,株式会社リバネスのみなさまには,このような機会に参加させていただき,多くのご協力,ご指導をいただきましこと,感謝申し上げます。また,静岡雙葉中学校・高等学校,高崎女子高等学校の皆さんと切磋琢磨できたことが,技術とモチベーションの向上の源でした。

 

 

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